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国立交通大学ユニット誘致

■対象大学・教員
国立交通大学(NCTU、台湾)
国際半導体産業学院
副学長(R&D)教授 Edward Yi Chang

■本学担当教員
グリーンイノベーションセンター
特任教授 上田 大助

パワーデバイスのプロトタイプ製作

世界有数の半導体製造メーカーが集積する台湾・新竹地区の中心 国立交通大学

国立交通大学(NCTU)は台湾の代表的な工科系大学で、世界トップクラスのコンピュータおよび関連部品メーカーであるAcerやASUSTeK、半導体ファウンダ リーのUMCなど、台湾の代表的な企業の創始者を多数輩出してきました。実学を重んじ、産業界とのつながりが非常に強いという特徴があります。企業、大 学間の人材の移動が密接なほか、クリーンルームや大型製造装置などを効果的に共有できる仕組みが構築されています。

研究協定を結び、パワーデバイス開発

本学では、NCTUの国際半導体産業学院と研究協定を結び、パワーデバイスに関する共同研究を行っていくほか、NCTUの有する製造設備を活用してパワー ワーデバイスの試作、 半導体製造装置の共有運用体制のノウハウ取得などを進めていきます。また、一連の取り組みを深化させる形で、本学への研究ユ ニット誘致にも着手していきます。

図1 クリーンルームでの研究開発風景
右が台湾学生、左が本学学生。

GaNパワーデバイスを中心に、基礎研究から底上げ

本プロジェクトでは、上田大助 特任教授が中心になって推進します。上田特任教授は民間企業に在籍時からNCTUの副学長(R&D)のEdward Yi Chang教授 とGaNパワーエレクトロニクスデバイスに関する共同研究を行い、現在も関連省庁の競争的資金により共同研究を継続しており、これらの事業とも有機的に 連携していきます。

図2 GaNパワートランジスタの断面図

図3 本学に設置された最新のGaN成膜装置と上田大助特任教授

  • 表1 関連省庁の事業
  • 内閣府
    戦略的イノベーション創造プログラム SIP パワーエレクトロニクス (H26年度~)
  • (国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構
    エネルギー使用合理化技術戦略的開発
  • (国研)科学技術振機構
    京都地域スーパークラスタープログラム(H26年度~)

学内クリーンルームの高機能化

光・電子デバイスの試作の一貫工程を実現

現在本学が有しているクリーンルーム(面積: 合計285平米)に、研究室等に散在する計測分析、微細加工の装置を集約し、一元管理することで、装置の有効活用を行います。設計から加工、プロトタイプと一貫工程を一箇所で実現します。
現状では、学生実験装置や一研究者の管理する装置、共同利用装置が混在する形となり現場レベルでの管理に任せていますが、グリーンイノベーションを牽引する境界領域の研究では、装置共同利用をきっかけとした共同研究への発展など横のつながりも重要になります。

共用設備の設置場所

本年度には、文部科学省「先端研究基盤共用促進事業(新たな共用システム導入支援プログラム)」の支援を受け、共同利用のマネージメントを人的にも整備しています。具体的には、卓越研究者(企業研究所所長研究者)によるマネージメント、若手教員(企業経験あり)の実働、技術職員の常駐配備により、企業や海外大学レベルの運用体制の実現を目指していきます。
とくに、先にあげた台湾の国立交通大学の運用体制をベンチマークに、大学のみならず企業との共同研究が活発に行えるようなレベルにまで引き上げます。

図4 本学の現在のクリーンルームの様子
現在は学生実験、個人研究装置、共同利用装置が混在しているが、これを一元管理することで効率的運用を目指す。

半導体材料としてのGaN

GaN(窒化ガリウム)には、ワイドバンドギャップの材料として、Si(シリコン)にはない多くの特徴があります。もっとも成功した応用例は青色発光ダイオード(LED)で、紫外波長に該当するバンドギャップが、短波長のLEDの実現に結びついています。

GaNは電子移動速度が高いことから、ミリ波やマイクロ波などの高周波通信デバイスへの応用研究も盛んにされています。具体的には、光通信の共振器やスイッチングデバイスなどがあります。

さらに、GaNには、高耐圧・高温安定動作などの特徴があり、本事業のパワーデバイスにも大変有望視されています。

GaNのデバイス応用で大きな障害となるのは、結晶成長制御、デバイス加工の難しさと言えるでしょう。ここをいかにクリアするかが実用化の鍵となります。一足先に大々的に実用化された青色LEDは、この課題をクリアしたことが評価されて2014年のノーベル賞受賞につながっています。

なお、電子デバイスの材料開発には常にライバルが存在するもので、もう一つ注目されている材料としてはSiC(シリコンカーバイド)があり、これも盛んに研究開発されています。

図5 GaNの特徴に基づいた応用例